遺言書や相続手続はいつ始める?熊本市の行政書士が伝えたいこと

皆さまこんにちは。マレー行政書士事務所です。かなり前(30年前ぐらい)に読んだエッセーの中の一文に「明日できることは今日するな」というものがありました。その作家は好きでよく読んでいたのですが、その意見は奇をてらっているようで、当時賛同できませんでした。賛同できない気持ちは30年後の今も変わりません。全てではないかもしれませんが、できることは早く済ませた方がいいと思います。相続手続についてもそれは同じです。

相続手続には期限があるものとないものがある

相続手続の中には、「期限付き」で進めなければならないものがあります。逆に、期限がなく、慌てずに取り組める手続も存在します。これを知らずに放置してしまうと、取り返しがつかなくなる可能性もあります。

期限がある主な相続手続

相続において期限がある代表的な手続には、以下のようなものがあります:

  • 相続放棄(3か月以内)… 相続を放棄したい場合は、家庭裁判所に申述しなければなりません。
  • 準確定申告(4か月以内)… 被相続人が個人事業主や給与所得者だった場合、その年の所得を申告する必要があります。
  • 相続税の申告・納付(10か月以内)… 基礎控除を超える財産がある場合、申告と納税が必要です。
  • 不動産の相続登記(3年以内)… 2024年4月から義務化され、正当な理由なく登記を怠ると過料の対象となります。

これらはすべて期限を過ぎると大きな不利益(例:放棄できず借金を相続する、延滞税がかかる、過料の対象となる)につながるため、早めに専門家へ相談することが重要です。

期限がない主な手続と注意点

一方、期限が明確に定められていない手続もあります。代表的なものは以下のとおりです:

  • 遺産分割協議… 相続人全員で遺産の分け方を決める協議。法的な期限はありませんが、放置すると他の相続人の死亡や認知症発症などで複雑化します。
  • 預貯金の解約… 金融機関により対応は異なりますが、放置すると相続関係者が増えて手続が煩雑になることがあります。

期限がないとはいえ、実務的には「早く対応すべき」ものであるため、後回しにしない意識が大切です。

熊本市での相続手続は地域事情に配慮を

熊本市や周辺地域では、戸籍の取り寄せや登記所へのアクセスが都市部に比べてやや不便な地域もあります。こうした地域性を考慮すると、早めに地元の専門家に相談することで、スムーズな手続が可能になります。

相続の手続を「まだ時間があるから」と思って後回しにしていると、思わぬトラブルや余計な費用がかかることもあります。早めの確認と準備が、円満な相続の第一歩です。
最後までお読みいただきありがとうございました。