皆さまこんにちは。熊本のマレー行政書士事務所です。厚生労働省の令和6年人口動態統計では、全国の死亡数は160万5,378人で、調査開始以来最多となりました。また、自筆証書遺言書保管制度は令和2年7月10日に始まり、法務省公表資料では利用件数も積み上がっています。相続や遺言は、一部のご家庭だけの特別な話ではなく、誰にとっても現実的な備えとして考えておきたいテーマです。
遺言はあとから書き直せる
遺言は、一度作ったら終わりではありません。家族構成の変化、不動産の売却、預貯金の増減、相続させたい相手への気持ちの変化などがあれば、内容を見直した方がよい場合があります。そして民法上、遺言者は遺言を自由に撤回することができます。つまり、昔書いた遺言があるからといって、その内容にずっと縛られるわけではありません。
遺言を見直す場面で大切なのは、「前の遺言をどう扱うか」です。後の日付の有効な遺言が、前の遺言と内容的に食い違う場合、食い違う部分については後の遺言によって撤回されたものとみなされます。たとえば、以前の遺言では熊本市内の自宅を長男に相続させるとしていたのに、新しい遺言ではその不動産を長女に相続させると書けば、その部分は新しい内容が優先されます。
そのため、遺言を書き直すときは、変更したい部分だけを見るのではなく、全体の整合性を確認することが重要です。古い遺言と新しい遺言の内容が中途半端に併存すると、相続開始後に相続人が読み解きにくくなり、無用な混乱につながります。実務上は、必要に応じて全文を整理し直した方が分かりやすいことも少なくありません。
撤回とみなされることがある行為
遺言の撤回は、新しい遺言を書く場合だけではありません。民法には、遺言者が故意に遺言書を破棄したときや、遺贈の目的物を故意に処分・破棄したときなどに、撤回とみなす考え方があります。たとえば、遺言で特定の預金や不動産を渡す内容にしていたのに、生前にその財産を処分してしまった場合は、その遺言の一部が実質的に意味を失うことがあります。
ただし、実際にどこまでが撤回に当たるのかは、遺言書の文言や財産の動きによって見方が分かれることがあります。だからこそ、熊本で遺言の見直しを考える際も、「この変更なら自動的に大丈夫だろう」と自己判断せず、書面全体を丁寧に整理しておくことが大切です。
法務局保管の遺言を見直す場合
自筆証書遺言書保管制度を利用している場合、「法務局に預けたら、もう変えられないのでは」と思われることがあります。しかし、保管の申請は撤回できますし、法務省も、保管中の遺言について新たな自筆証書遺言を作成して内容を見直すことができる旨を案内しています。つまり、保管制度を使っていても、遺言の見直し自体ができなくなるわけではありません。
もっとも、保管の撤回と、民法上の遺言の撤回は同じ意味ではありません。この点を混同すると、手元に返してもらっただけで内容が当然に整理されたと思い込んでしまうおそれがあります。制度上の届出と、遺言内容そのものの見直しは、分けて考える必要があります。
相続で困りにくい見直し方
遺言の書き直しで大切なのは、第一に日付を明確にすること、第二に対象財産をできるだけ特定すること、第三に古い内容との重なりを意識することです。特に不動産、預貯金、証券口座などは、名義や口座が変わることがあるため、作成時点では正しくても、年月がたつと分かりにくくなることがあります。熊本で相続対策を考える場合も、財産の現状確認と遺言文案の整合性確認は欠かせません。
また、遺言は作成そのものより、「相続開始後に読んだ人が迷わないか」が重要です。相続人が複数いるご家庭では、書いた本人には分かる表現でも、残された側には伝わりにくいことがあります。遺言は気持ちを残す文書であると同時に、相続時に実際に読まれる文書でもあるため、分かりやすさが大切です。
早めの見直しが安心につながる
遺言は、熊本で暮らす方にとっても、相続の混乱を減らすための大切な備えです。そして、遺言を作ったあとに事情が変わったなら、見直しを検討すること自体が自然なことです。古い遺言をそのままにするよりも、今の家族関係や財産状況に合った内容に整えておく方が、相続人にとっても分かりやすくなります。
当事務所では、遺言や相続に関する資料整理、文案整理、必要書類の確認など、行政書士として対応できる範囲でお手伝いしています。遺言を以前作ったが今の内容でよいか不安、法務局保管を利用した遺言を見直したい、相続人が読んで分かりやすい形に整えたい、といったお悩みがある方は、早めに整理を進めることをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
