遺言書の検認について

皆さまこんにちは。マレー行政書士事務所です。
自筆証書遺言は、令和2年7月からの法改正により、法務局による「遺言書保管制度」の創設など、利便性が高まっています(法務省資料・2020年7月実施)。しかし、現在も多くの自筆証書遺言が家庭で保管されており、発見後には「検認」という手続が必要になることがあります。
今回は、遺言書の検認とは何か、どのような場面で必要となるのか、熊本で相続を進めるにあたって注意すべき点をご紹介します。

検認とはどのような手続か

検認とは、家庭裁判所が遺言書の形状・日付・署名などを確認し、遺言の偽造や変造を防止するために行う手続です。
これは遺言の有効性を判断するものではなく、あくまでも「遺言書がそのままの状態で存在していたことを確認する」ための形式的な手続とされています(民法第1004条)。
そのため、検認を受けたからといって、その遺言が有効と認められるわけではないことに注意が必要です。

自筆証書遺言が見つかったときの対応

遺言書が自筆証書の場合で、家庭裁判所で保管されていないものについては、封がされている場合は家庭裁判所で開封する必要があります。勝手に開封すると5万円以下の過料の対象になる可能性があります(民法1004条第3項)。
熊本市内で遺言書が発見された際も、まずは開封せず、遺言書を保管している人が家庭裁判所に対して検認申立を行うのが一般的な流れです。

検認が必要な遺言と不要な遺言

すべての遺言が検認を要するわけではありません。代表的なものを以下に示します:

  • 検認が必要:自筆証書遺言(法務局保管以外)
  • 検認が不要:公正証書遺言、法務局で保管された自筆証書遺言

特に、法務局で保管された遺言書については、遺言書保管官の確認が行われているため、検認手続を経ずに相続手続を進めることができます。
熊本市でも、法務局熊本地方法務局本局(中央区)においてこの制度が利用可能です。

検認が必要な場合の申立手順

検認申立は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。熊本市の場合は熊本家庭裁判所が管轄となります。
申立に必要な書類は以下の通りです:

  • 検認申立書
  • 遺言書原本
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍一式
  • 相続人全員の戸籍および住民票など

申立書式は裁判所ホームページからダウンロード可能ですが、記入内容や添付資料に不備があると補正を求められ、検認期日の設定が遅れる可能性もあります。

相続手続との関係

検認は相続開始後に必要な初動手続のひとつであり、検認が終わらない限り、遺言書に基づく預貯金の解約や不動産名義変更などの相続手続に進むことができません。
特に、熊本市で不動産を相続する場合、検認済証明書が登記申請書に添付されていなければ、法務局で受理されない場合もあります。
そのため、相続手続をスムーズに進めるには、早期の検認申立が重要です。

まとめ

自筆証書遺言が発見された場合は、すぐに開封せず、まずは家庭裁判所への検認申立を行う必要があります。
検認は遺言の有効性を判断するものではありませんが、相続手続の出発点となる重要な段階です。熊本での相続の現場でも、遺言書発見からの対応により手続の円滑さが大きく左右されます。
検認手続は家庭裁判所で行われますが、その前提となる戸籍収集や相続関係資料の準備については、当事務所でもご案内が可能です。お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。