公正証書について

新年あけましておめでとうございます。マレー行政書士事務所です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
皆さまにおかれましては、ご多幸な年となりますようお祈り申し上げます。

2025年最初のテーマは「公正証書」です。
業務上、公正証書についての質問を受けることが多いため、今回は公正証書についてお話したいと思います。 以下、日本公証人連合会のホームページから一部抜粋し、補足を交えて説明します。

公正証書とは

公正証書とは、私人(個人や会社、法人)からの嘱託により、公務員である公証人(※1)がその権限に基づいて作成する公文書のことです。 公文書には、その文書の成立が真正であるという強い推定(形式的証明力)が働きます。公証人が当事者の嘱託により作成した文書には、反証がない限り、完全な証拠力(※2)があり、このように公正証書は極めて強力な証拠力を有します。 また、金銭消費貸借契約等の金銭の支払を目的とする債務についての公正証書に、①一定額の金銭の支払についての合意と、②債務者が金銭の支払をしないときは直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されている場合には、裁判手続を経ることなく直ちに強制執行をすることができます。この強制執行力を持つ公正証書を「執行証書」といいます。

※1 法務大臣により任命された公務員であり、長年にわたり検察官や裁判官などの法律実務に従事したプロフェッショナル。
※2 公正証書に記載された内容が、そのまま裁判で証拠となること。

上記の通り、契約や合意を公正証書化することで、高い証明力を持つものとすることができます。

公正証書の種類

公正証書には、以下の2種類があります。

  1. 法律行為(※3)に関する公正証書
  2. 私権に関する事実についての公正証書

1. 法律行為に関するもの

◎契約に関する公正証書

土地や建物の売買、賃貸借、金銭消費貸借などの契約に関する公正証書が一般的です。 それ以外にも、機械器具のリース契約など、法令や公序良俗に反する無効原因がなく、行為能力(※4)の制限による取消しの対象とならない限り、どのような内容の契約でも公正証書を作成することができます。

◎嘱託人による単独行為(※5)に関する公正証書

当事者間の合意を契約として公正証書にするだけでなく、嘱託人一人の意思表示を文書で明らかにする単独行為に関する公正証書も作成されています。 遺言はその典型であり、遺言者による単独の法律行為です。遺言者が自分の死後にその財産を誰にどのような割合で残すのかを決めたり、相続人を廃除したり、婚外子を認知したり、先祖の墓を誰に守ってもらうかを定めたりします。遺言公正証書は、公証人が遺言者の話を聞き取り、その内容を公正証書にまとめて作成します。聴覚や言語機能に障害のある方でも、公正証書遺言を作成することができます。

2. 私権に関する事実についての公正証書(事実実験公正証書)

公証人が、自らの五官の作用で認識した結果を記述する公正証書を事実実験公正証書といいます。 事実実験の結果を記載した「事実実験公正証書」は、証拠を保全する機能を持ち、多種多様な事実を対象とします。 例えば、特許権者の嘱託により特許権の侵害状況を記録した事実実験公正証書や、相続人の嘱託により相続財産把握のため被相続人名義の貸金庫を開披し、その内容物を点検・確認する事実実験公正証書があります。 事実実験公正証書は、その原本が公証役場に保存される上、公務員である公証人によって作成された公文書として高度な証明力を持ちます。また、人の意思表示や供述の内容もこの証書で証拠化することができます。例えば、尊厳死の意思表示を事実実験公正証書に記載しておくことが可能です。将来の紛争を防止する目的のために非常に広い範囲で活用できる公正証書です。

※3 何らかの意思表示をすることで権利・義務の取得・喪失を発生させる行為。
※4 法律行為を単独で有効に行うことができる能力。
※5 一方的な意思表示で成立する法律行為。

どちらの種類も、高い証明力を持ち、契約や合意、事実の証明において重要な役割を果たします。公正証書を利用することで、法的なトラブルを未然に防ぐことができるのが大きな利点です。

最後までお読みいただきありがとうございました。