後見制度について

皆さまこんにちは。マレー行政書士事務所です。今日は9月15日ですが、熊本はまるで8月15日のような暑さです。私が小学生の頃(約40年前)を思い出すと、現在の気温は当時よりも3~5度ほど高く感じます。実際に調べてみると、そこまで大きな差はないようですが、体感としてはそのくらい違うように感じます。

さて、今回は後見制度についてお話しします。

後見制度の背景

日本では65歳以上の人口のうち、認知症にり患する割合は、2025年には700万人(約20%)に達すると予測されています。また、認知症患者が保有する金融資産は2030年には215兆円に達すると見込まれています。これにより、家族や国の負担が増え、認知症による資産活用の意思表示が困難になることで、社会にお金が回りにくくなる懸念があります。こうした背景のもと、日本の後見制度が存在します。

後見制度とは?

後見制度は、判断能力が不十分な方(高齢者や障害者など)を保護し、支援するための制度です。日本では、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。それぞれの制度について詳しく見ていきます。

法定後見制度

法定後見制度は、家庭裁判所が後見人を選任し、判断能力が不十分な方を支援する制度です。法定後見制度には、以下の3つの種類があります。

  1. 後見
    • 判断能力がほとんどない方を対象とします。
    • 後見人が財産管理や身上監護を行います。
  2. 保佐
    • 判断能力が著しく不十分な方を対象とします。
    • 保佐人が特定の法律行為について同意や代理を行います。
  3. 補助
    • 判断能力が不十分な方を対象とします。
    • 補助人が特定の法律行為について同意や代理を行います。

任意後見制度

任意後見制度は、将来判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ信頼できる人に後見人としての役割を依頼する制度です。本人がまだ判断能力を持っているうちに、自分の意思で後見人を選び、後見契約を結ぶことができます。

任意後見契約の内容

任意後見契約は、公正証書によって作成され、以下の内容を含むことが一般的です。

  • 後見人の選任: 本人が信頼できる人を後見人として選びます。
  • 後見人の権限: 後見人が行う具体的な業務や権限を明確にします。
  • 報酬: 後見人に対する報酬の有無や金額を定めます。

任意後見契約の発効

任意後見契約は、本人の判断能力が低下した時点で発効します。発効するためには、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てる必要があります。任意後見監督人は、後見人の業務を監督し、本人の権利や利益を守る役割を果たします。

後見制度のメリットとデメリット

メリット

  • 判断能力が不十分な方の権利や財産を保護できる。
  • 家庭裁判所の監督下で適切な支援が行われる(法定後見)。
  • 本人の意思に基づいて後見人を選ぶことができる(任意後見)。

デメリット

  • 申し立てや手続に時間と費用がかかる。
  • 後見人等の選任により、本人の自立が制限される場合がある。

後見制度は、判断能力が不十分な方の生活を支援し、権利を守るための重要な制度です。利用を検討する際には、専門家に相談し、適切な手続を踏むことが大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。