皆さまこんにちは。マレー行政書士事務所です。
早いもので2024年も9月となりました。今年も残り3分の1ですね。当事務所におきましても、色々と慌ただしくなることが予想されますが日々精進してまいります。
贈与とは、財産を無償で他人に譲渡することを指します。特に生前贈与は、相続税対策として利用されることが多く、計画的に行うことで相続税の負担を軽減することができます。今回は、贈与の基本から生前贈与、そして相続との関わりについてお話します。
贈与の基本
贈与は、贈与者(あげる人)が財産を無償で受贈者(もらう人)に譲渡する契約です。贈与契約は口頭でも成立しますが、後々のトラブルを避けるために書面で行うことが望ましいです。
生前贈与とは?
生前贈与とは、贈与者が生前に財産を譲渡することを指します。生前贈与には以下のようなメリットがあります。
相続税の軽減: 生前贈与を計画的に行うことで、相続時の財産総額を減少させ、相続税の負担を軽減することができます。
贈与税の非課税枠: 特定の条件を満たす場合には、贈与税の非課税枠が適用されることがあります。
贈与税と相続税の違い
贈与税と相続税は、どちらも財産の移転に伴う税金ですが、以下のような違いがあります。
贈与税: 贈与者が生前に財産を譲渡する際に課される税金です。年間110万円を超える贈与には贈与税が課されます。
相続税: 相続や遺贈によって財産を取得した場合に課される税金です。相続税の課税対象となる財産には、現金、不動産、有価証券などが含まれます。
贈与税の基礎控除額
贈与税には年間110万円の基礎控除額があります。つまり、1年間に贈与された財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。
非課税財産
特定の財産は贈与税がかからない非課税財産として扱われます。生活費や教育費、香典や見舞い品などが該当します。
贈与税の特例制度
贈与税にはいくつかの特例制度があり、特定の条件を満たす場合にはさらに大きな非課税枠が適用されます。以下はその一部です。
1.配偶者控除: 夫婦間で居住用不動産を贈与する場合、最高2,000万円+基礎控除額110万円の2,110万円まで非課税となります。ただし、婚姻期間が20年以上であること、贈与を受けた後も引き続き居住することなどの条件があります。
2.住宅取得等資金の贈与: 自宅の新築や購入のための資金を贈与された場合、省エネ住宅は1,000万円、それ以外は500万円まで非課税となります。ただし、贈与する側は直系尊属でなければならず、贈与される側は年齢や年収、住宅の床面積などに一定の制限があります。
3.教育資金の一括贈与: 教育資金として贈与された場合、1,500万円まで非課税となります。ただし、贈与する側は直系尊属でなければならず、贈与される側は年齢や年収、学校等以外への支払いは500万円までなど一定の制限があります。
4.結婚・子育て資金の一括贈与: 結婚や子育てのための資金を贈与された場合、1,000万円まで非課税となります。ただし、贈与する側は直系尊属でなければならず、贈与される側は年齢や年収、結婚費用は300万円までなどの制限があります。
5.相続時精算課税制度: 60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫に対して贈与する場合、2,500万円まで非課税となります。この制度を利用した場合、贈与者が亡くなった時の相続税には、相続財産にこの制度を適用した贈与財産の価格(贈与時の時価)を加算して計算します。なお、2,500万円を超えた分については一律20%の贈与税がかかります。また、一度この制度を利用すると暦年課税制度(1年間の贈与額が110万円以下の場合は非課税)に戻すことはできません。
生前贈与の注意点
贈与契約の書面化: 口頭での贈与契約は法的には有効ですが、後々のトラブルを避けるために書面で行うことが推奨されます。
贈与税の申告: 贈与税が課される場合には、適切に申告を行う必要があります。申告を怠ると、後で追加の税金や罰金が発生する可能性があります。
相続税対策: 生前贈与は相続税対策として有効ですが、計画的に行わないと逆効果になることもあります。
贈与や生前贈与は、財産を無償で譲渡する有効な手段ですが、贈与税や相続税、契約の書面化など、いくつかの注意点があります。贈与や生前贈与を検討している方は、計画的に行うことをお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございました。