皆さまこんにちは。マレー行政書士事務所です。
今日は、「契約」についてお話しします。
私が現在、熊本県行政書士会が実施する相談会の相談員を務めていることは、前回お伝えしました。その相談会で、相続関連に次いで多いのが権利義務に関するご相談です。
「権利」とは、法律によって保護され、他人に対して何かを要求することができる地位や能力のことを指します。
「義務」とは、法律によって課され、他人に対して何かを行うことが要求される責任のことを指します。
権利義務について考えるとき、日常生活でよく見られる例として「契約」があります。 例えば、コンビニでおにぎりを買う行為は、おにぎりの売買契約を締結するものです。飲食店で食事をする行為は、食事の提供に関する契約を締結するものです。また、バスに乗る行為は、旅客運送契約を締結するものです。
契約とは、一言で言えば「約束」のことです。
契約は、契約をしたいという申し込みと、その申し込みに対する承諾がなされることによって成立します(民法522条1項)。
バスに乗る例で考えてみましょう。バス会社は乗客を目的地まで運ぶことを約束し、乗客はその運賃を支払うことを約束します。乗客はバスに乗ることでこの契約を黙示的に締結し、バス会社は乗客を安全に目的地まで運ぶ義務があります。一方、乗客は運賃を支払う義務があります。
このように、契約は申し込みと承諾があれば成立します。基本的には、契約書の作成などの手続きは契約の成立には不要です(一部例外を除く)。
しかし、契約は目に見えない概念であり、後に様々なトラブルを引き起こす可能性があります。そのため、トラブルを回避するためのツールとして契約書があります。契約書があれば、その契約の内容や存在を証明することができます。つまり、契約書は契約の証拠となります。コンビニでおにぎりを買う際に契約書を作成する人はいませんが、重要な場面、特にビジネスなどでは、多くの場面で契約書が交わされます。
相談業務においても、「そんなはずじゃなかった」とか「言っていることが前と違う」などの事例は多いです。何でもかんでも契約書というのは、少々ギスギスした感じもしますが、重要なことについて契約書を交わすことは、後のトラブル予防という意味から有益だと思います。
また、トラブルが起こってから、あるいはトラブルが予見される案件については行政書士は介入できません。トラブルについては弁護士が専門です(一部例外を除く)。契約書の作成は、トラブルにならないように決めごとをしておく、あるいはトラブルになった時にはどうするか決めておく、といういわゆる予防法務という分野です。 このトラブルに備えるという予防法務は、行政書士の重要な業務の一つです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。